長崎だからとか、都市圏だからとか、仕事をする上で、地域の差はないと思う。

長崎だからとか、都市圏だからとか、仕事をする上で、地域の差はないと思う。

長崎だからとか、都市圏だからとか、仕事をする上で、地域の差はないと思う。

野上 鉄晃さん

野上 鉄晃さん

東京ビジュアルアーツ卒業 37歳
長崎市出身 東京の専門学校を卒業し、東京で就職。
その後、転職を機にUターンで長崎へ
お住いのエリア/長崎市
勤務先/ルカフィルム株式会社
社歴/3年

現在のお仕事の内容を教えてください。

映像ディレクターとして、
企画から編集まで真摯に向き合いたい。

ルカフィルム株式会社を立ち上げ、主にCM(テレビコマーシャル)やVP(企業、団体のプロモーション)の映像制作を行なっています。
映像ディレクターとしてクライアントと打ち合わせをし、プランを練ったり、コンテンツを制作したり。作品の企画から携わり、制作現場での指揮や演出をするのが具体的な内容です。
中でも、編集を自分で行うことにはこだわっています。映像ディレクターの中には、編集は編集マンに任せて自分は監修するという方もいますが、私の場合「つなぐ」ことありきで撮影しますので、編集まで含めて一連の作品づくりだと考えるからです。
代表作を挙げるとすれば、長崎県南島原市の観光PRショートフィルム『夢〜DREAM〜』でしょうか。これは毎年東京で開催される観光映像の祭典「2018年ショートフィルムフェステバル」において観光映像大賞(観光庁長官賞)を受賞したもので、とても印象深い作品になりました。
他にも、長崎県移住プロモーション動画『故郷は、あなたと繋がっている。』や長崎観光PRムービー『Welcome to nagasaki – episode1』(KTN共同制作)、『RANTERN FESTIVAL』など行政関連の作品や、民間企業のPR、CMにも多数携わらせていただいていますが、どれも愛着のある作品です。

インタビュー 野上 鉄晃さん

Q.映像関係の仕事であれば、都市圏の方が間口が広いように思いますが、長崎でやろうと思ったきっかけは?

長崎にいるときに撮った自主映画が賞をいただいたことがきっかけ。

実は、私はもともと映像ディレクターを目指していた訳ではなかったんです。高校まで長崎で過ごし、卒業後2年間はアルバイトをしては国内、海外を問わず旅行をしていました。いわゆる自分探しです。結局、そこでは自分が見つからず(笑)、東京ビジュアルアーツという専門学校に行きましたが、これも「映画が好き」という単純な理由からです。
専門学校を卒業して、東京の企業に就職しました。映像関係の仕事ではあったんですが、この時もまだピンと来ていなくて、「何か違う」と思って3年程で退職しました。それで長崎に帰って来たんです。長崎は生まれた場所だし、好きだからという理由です(笑)。
長崎では介護の仕事に就いたのですが、これが自分にとって大きな転機となりました。人生の最期を目の当たりにする時、「きちんと生きよう」と思うようになったんです。同じ頃、友人に「映像関係とか向いているんじゃない?」と言われたこともあって、趣味で映像制作をするようになりました。
そして2011年、自主映画『PICARO』が、映画監督の登竜門とも言われるPFFぴあフィルムフェスティバルで、PFFアワード2011に入賞。これをきっかけに、映像に本腰を入れようと思いましたし、仕事としても少しずつ依頼していただけるようになったと思います。

Q.仕事をする上で、長崎と都市圏の差を感じることは?

長崎だから作れない、という時代ではありません。

映像の仕事で言えば、環境面での差はほとんどないと思います。
私は一つの作品を制作するにあたり、規模にもよりますが、だいたい10人くらいのチームであたります。この時、例えばCGやVFXは石川県のクリエーターに依頼しますが、データはリアルタイムでやりとりができますし、特別不都合に感じることはありません。機材等に関してもネットで簡単に手に入りますし、都市圏に比べて遅れているということもありません。
「長崎だから作れない」という時代ではないと思うんです。
強いて長崎と都市圏の違いを挙げるとすれば、「やれること」の差でしょうか。都市圏の場合、作品に対しての予算が地方に比べて大きいことも少なくありません。その分、やれることは増えるんですね。当然、作品としてのクオリティーは上がりますし、一人のクリエーターとしてより良い作品を追求できることはとてもありがたいことです。
その意味でも、私はこれから、長崎県内にとどまらず幅をもっと広げていきたいと思っていますし、長崎を拠点としてもそれができると信じています。

インタビュー 野上 鉄晃さん

Q.「活動の場を広げても拠点は長崎」という野上さんにとっての長崎の魅力とは?

全国のカメラマンも賞賛する景観と、
触れるたびに奥行きを増す歴史性。

景観の素晴らしさは全国で活躍するカメラマンたちも「長崎の風景が一番いい」と声を揃えるほどポテンシャルが高く、全景でもパーツでも画になるのは長崎ならではの魅力ではないでしょうか。確かに美しい風景は各地にありますが、長崎のような立体的な景観は珍しく、特徴的だと感じます。
もう一つは歴史性です。例えば以前、グラバー園の映像を制作させていただいたことがあるんですが、その時に広がりと奥行きを感じました。旧グラバー住宅は明治維新の基点となる場所ですが、長崎には他にも同時代の息吹を感じさせてくれる遺構が点在します。点と点が結ばれて線になる。そんな感覚で見ると、石畳一つとっても奥行きがあって見え方が違って見えるんです。「だったらこうやって撮ってみよう」とか、アイデアにもつながります。
これまで、そんな美しさや奥深さに触れることで、私自身の映像も形作られてきたのだと思います。そしてもちろん、今の映像が完成型だとは思っていません。これからも、多くの人の心に届く映像を追求するために、いろいろなことを吸収していきたいですし、長崎はそれができる場所だと思います。

Q.お仕事のやりがいを教えてください。

クライアントのためになっているか。
見る人にきちんと伝わっているか。

制作チームはもちろん、クライアントも一緒になってより良い作品を目指す一体感は好きです。
私は「こうしたい」という思いはあっても、「自分の考えていることが絶対」とは到底思えないので、クライアントと綿密に話をさせていただくようにしています。時には、私たちとクライアントの思いにズレが生じることもありますが、両方のコンテンツを尊重しつつ、新しいコンテンツを作り上げていく過程は大変ですが充実しています。
映像ディレクターとしての説明責任を常に意識していますが、制作にあたって私が大切にしていることは「ストーリーで語る」ということ。映像は情報量が多いだけに、しっかりとした軸がないと伝わらないと考えるからです。そして「ストーリーで語る」ためには背景が大切で、背景がしっかりしていればいるほどストーリーの軸もブレずに強いものになるのではないでしょうか。
先にも話しましたが、長崎は幾重もの背景を感じられる場所です。一つ一つの仕事を大切にしながらも、その上にあぐらをかくことなく、新しい映像表現に挑戦し成長できる自分に期待しています。

インタビュー 野上 鉄晃さん

Q.休日は主に何をして過ごしていますか?

新しい情報へのアンテナは、張っています。

可能な限り新しい情報を得ようと思っています。読書は私にとって大切な時間ですし、人と会う機会があるときは率先して参加するようにしています。
また、休日に限らず、好きな映画やCMはダウンロードして何回も見るようにしています。見ているうちに、「何が良いのか」、「どういうところが好きなのか」がわかってくるんです。

Q.ライフスタイルの割合を教えてください。

仕事がら、作業が深夜まで及ぶことも多く、油断していると昼夜が逆転してしまいます。そうならないためにも、あえて時間を作って週に3回はトレーニングジムに通うように心がけています。
有酸素運動は、新しい思考回路を生むためにも大切だと言われているようなので、頑張ってトレーニングしています。

インタビュー 野上 鉄晃さん ライフスタイル

インタビュー 野上 鉄晃さん

Q.長崎で暮らして、良かったことを教えてください。

食は美味しいし、人はあったかい。

食事が美味しい。特に魚が美味しい長崎は、日本酒が好きな私にはたまりませんね(笑)。
あとは、人の温もりだったり、つながりだったり。新聞で取り上げてもらった時などは、以前介護の現場で一緒に働いていた方たちも「野上くんがねぇ、よかったねぇ」と喜んでくださって、本当に嬉しかったですね。
他にも、仕事で不意に高校の同級生と再会することもあります。それまでお互いに知らなくて、打ち合わせなどで顔を合わせた時に「あれっ?」と。ビックリと同時に、何か嬉しいんですよね。

Q.長崎で暮らして、困ったことを教えてください。

本当に、困ったというほどのことはありません。

見たい映画が上映されていないことがある、ということぐらいでしょうか(笑)。これもネット配信で自己解決できるんですが。
撮影や編集の機材など、ネットで買えると話しましたが、服だってそうですよね。なので私はあまり福岡とか東京とかに必要性を感じないんです。
そもそも、コンクリートに合わないので、都市圏に住もうなんて思わないですし。

インタビュー 野上 鉄晃さん

Q.これから、長崎で暮らそうとしている若者にエールをお願いします。

自分ときちんと向き合って、心に素直に生きていいと思います。

今の時代、転職もネガティブなことではないですし、自分の「快」、「不快」にわりと忠実に生きていいと思います。
ただ、「苦しい」ことと「不快」なこととは違うといことは意識したいですね。映像の仕事とか、「苦しい」と思うこともありますけど、私にとっては「快」なんです。その行動が「何のためなのか」、「何を目指しているのか」をしっかりと問い、自分と向き合うことで「苦しい」と「不快」の境も見えてくるのではないでしょうか。
そして映像の業界で言うと、現場に入ってきて独り立ちしようとしている長崎の若者も出てきています。例えば照明の仕事とか狙い目で、需要もかなりあるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

インタビュー 野上 鉄晃さん