ナガサキエール - 長崎県ふるさと暮らし魅力発信事業

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長崎からエールを

地域の暮らしに安心を。 vol.2┃社会福祉法人・南陽会

誰もが口を揃えて「このまちの魅力は人だ、自然だ」という背景は、そこまであからさまに可視化されているものじゃない。ならば、僕たち自身は何を以て「うちの地元は特別だ」と誇りに思うのだろう。何を以て、僕たち自身の中で差別化を図っているのだろう。

その答えを探しに、僕の地元・土井首特集と銘打った社会福祉法人 南陽会さんへの取材。前編では、南陽会が生まれたきっかけや、施設が掲げる理想像。そして、企業主導型保育園を採用した理由を深掘りしました。

後編となる今回は、その想いをカタチにするために奮闘する現場の保育士さんにの声に注目。前編に引き続き、施設の理事長を務める小川幸雄さん、幸雄さんの妻でみなみのかぜ保育園の園長を務める小川京子さん、そして保育士として勤務する高﨑千草さんにお話を伺いました。

南陽会_みなみのかぜ保育園
左から園長の小川京子さん、保育士の高﨑千草さん。

三者の繋がりを意識した保育

理事長の小川(幸)さんが「家庭的で、親しみやすい保育園」と語るみなみのかぜ保育園。主に0歳~2歳の子どもたちを預かっている園内の雰囲気を、保育士の高﨑さんに訊きました。

高﨑:いまお預かりしている子どもたちは、どうしてもまだ「おかあさんがいい!」という年齢なので、あたたかい雰囲気を重視しながら、少しずつ信頼関係を築けるように意識しています。親御さんにもこの雰囲気を感じ取っていただけるように、保育と関係のない世間話をしたりとか。

長野:保護者の方が同じ地区の方であれば尚更、地元の情報をシェアするのも楽しそう…!

高﨑:親御さんにとって、何でも気軽に話しやすい相手になれたらいいなと思ってます。子どものわるふざけを面白おかしく伝えたりしたときに、「そうだったんですか!?(笑)」みたいに反応してくださると嬉しいです。私たちと子どもだけではなくて、子ども・親御さん・保育士と三角で繋がってるんだよってところは大事にしたいですね。

長野:まさに、小川(幸)さんが仰られていたイメージを体現されているように思いました……すごい。2歳以上の子どもも預けられるんでしょうか?

小川(京):ルール的には可能なんですが、3歳くらいからは大きい保育園に通うようになる子どもがほとんどです。

高﨑:小学校生活に繋げていくことが、わたしたち保育士の役目。そういう意味では、子どもたち自身が集団生活に慣れていく必要があると思っています。よく言えば「家庭的」なのですが、あまりぬくぬくと……というのは(集団生活に馴染むうえで)難しい部分があります。

長野:「保育園や幼稚園で集団生活に慣れてから、小学校へ」というワンステップだけなのかなと思ってました。いまの話を聴かせていただいてると「集団生活に入る前の親離れ」といいますか…もうワンステップあるような印象を受けます。

高﨑:まさにその通りだと思ってます!親御さんとの愛着関係ができて、そこから集団生活に馴染んでいくのがいいのかなと。入園の相談に来られる方にも、わたしたちの気持ちは正直にお伝えしていますよ。

目が行き届く安心感は、小規模ならでは

長野:みなみのかぜ保育園の環境について教えていただけますか?

高﨑:「家庭的な環境を目指す」とは言ってますが、子ども同士のケンカや物の取り合いをする中で「相手にも嫌って気持ちがあるんだ」というところに気付いたりもするので、集団生活前にお互いを思う気持ちも育めます。

長野:各園で対策は講じられているのかなと思うのですが、「争う場面で目が行き届かない」なんてこともあるのでは?と思ってしまいます。子どもにとって当たり前のケンカでも、見えないが故に親御さんが過剰に心配されるケースもありそう…。

高﨑:過去に大きな保育園でも勤務していたんですが、噛みつきが起こったりしたときに気付けないとか、気付いたときには噛みつかれてるという出来事も経験しました。悔しい気持ちを言葉で表現できずに噛みついちゃう、というのはよくあるので…。

小川(京):ここでは、そういった場面はないかもしれないですね。

高﨑:ケンカしてても危険がない範囲はそのまま見守って、「一線を越えそうになったときには止める」という環境なのかなと思います。施設によるのですが、基本的には子ども3人に対して保育士が1人。みなみのかぜ保育園ではそれ以上の保育士が在籍しているので、安心して預けていただけるのかなと思います。

南陽会_みなみのかぜ保育園
小規模だからこそ、密度の濃い保育ができる環境を確立されています

保育士を続けられた、先輩の言葉

初めての就職からこれまで、約20年間もの歳月を保育士として過ごしてきた高﨑さん。大小異なる規模の保育園で働いてきた中で、ちがう道を進むことは考えなかったのか。正直な気持ちを打ち明けてくださいました。

高﨑:保育士を辞めたいと思ったこともあるんです。親御さんとの関係に難しさを感じていたとき、「辞めたいな~」って雰囲気を出していたら、経験豊富な先輩が声を掛けてくれました。

— 「とにかく楽しく先生ばしとかんね!いつも楽しくしとったら、子どもも楽しい。そしたらお互い楽しいたい?それを見た親御さんは、絶対に分かってくれるはず。自分の子どもが、先生と楽しく過ごしてるってことが一番いいことやけん。」

この言葉に励まされて、行動に移したという高﨑さん。実践する中で、保育士の楽しさを再認識されたと話します。

高﨑:「これかー!」って実感して、笑顔でいられるようになりましたね。当時の先輩の言葉は、今でも忘れられないです。

長野:保育士さんの笑顔が子どもたちに伝わって、それがまた施設の利用者さんへ繋がりそうですよね!多世代の交流から生まれていく笑顔の伝染も、高﨑さんのような明るい保育士さんが居てくださってこそ成り立つのでは…!

高﨑:だめなときは「だめ!」って言いますよ!(笑)ただ、いつも笑顔でいるからこそ、子どもたちにも「してはいけないこと」を理解してもらえる。現場に入れば大変なこともありますが、ここは保育士も子どもも自由にやらせてもらっているので、みんなが生き生きしています。

長野:南陽会は介護施設に保育園が併設されていますが、別の場合もあるなと……例えば、会社や病院の中に託児所があるとか。色んな業種の中にある保育施設から集った子どもたちが「自分が小さい頃は…」なんて言い合える環境も生まれてきそうですよね。関わってきた大人やコミュニティのちがいが、多様性を重んじる時代の中で重要になってくる気がします。

高﨑:「集団の時代じゃない」という意見もありますよね。昔に比べると小学校も個性を大切にしているので、自分で考えて行動するための基礎があるのかどうか。集団の強い部分に圧迫されるんじゃなくて、それぞれが自分の力を発揮できるような子どもたちに育ってくれたらいいなと思います。

地元で暮らし、働く理由とは

南陽会の想いと、それをカタチにする現場の声。「子どもを預けるための施設」だと思っていた保育施設への印象をがらりと変えてしまったインタビュー。「家庭的で、親しみやすい保育園」の輪郭をなぞるのは、ここで働くひとりひとりのホスピタリティでした。

こうして、僕が育ったまちの魅力をまたひとつ。最後に、南陽会のみなさんが地元で暮らし、働く理由に迫りました。

小川(幸):若い頃、マレーシアやブラジルで暮らしていた時期があったんです。特にブラジルでは農業のサポートを行うために半年ほど山に籠りっぱなし。それから山を出て海を見たときに、涙が出そうになったんです。

長野:このまちが頭をよぎったのでしょうか?

小川(幸):長崎の良さは、都会と違って自然が近いところ。ただ、正直なところ九州はどこもそう。それでも感動したというのは、やはり安心感と言いますか。上手く言えないんですが、そういうのを感じずにはいられませんでした。

長野:小さい頃からの記憶が、小川さんを長崎に呼び戻したんだと思います。

小川(幸):勉強はもちろんですが、教育に欠かせないものは感性。僕が田舎が好きということもありますが、そういう意味でも小さい頃に暮らしている環境はとても大切だと思っています。

小川(京):わたしも同感です。子どもたちはもちろん、この施設もそう。地域の人たちに守っていただきながらここまで来てる、というのはすごく感じています。

高﨑:うちの娘が県外にいるんですが、子育てに不安を感じてました。服もオシャレ、日焼けもしてない、習いごとは当たり前。その子育てについていけるかなって。ベタかもしれないけど、「ちょっと醤油かして」とか、うちはまだそれがあるんです。地元への愛着は、そういうところで蓄積されていくのかなと思います。

気持ちが落ち着く、南陽会からの絶景。

地元が特別なのは、”和える”暮らしをしてきた証

このまちで気持ちよく暮らすためには、多少の課題もつきまとう。事実から目を背けてまで「地元に残るべきだ!」というのはあまりにも詭弁だし、夢や目標に向かって外に出るという選択は心から応援すべきだ。

けれども、長崎は決して「何もないまち」じゃない。

なつかしい風景に安心するとか、会いたい人がいるとか。地元には、自分自身にしか見えない景色と、それを紡いできた記憶がある。自分だけのフィルターを通して見えるまちが特別だと感じるのは、家族や友だち、そして同じまちで暮らす人たちと”和える”暮らしをしてきた証に他ならない。

未だ見ぬ長崎の魅力は、あなたの記憶の海にあるのかもしれない。

施設名社会福祉法人 南陽会
住所長崎県長崎市蚊焼町649番地3
ホームページhttp://www.nanyoukai.com/

ライター紹介

長野 大生

ショートショート長崎/ながさき若者会議

長野 大生

長崎市出身のライター・編集者。2021年からは、長崎を舞台にした短編小説集を制作するプロジェクト「ショートショート長崎」の代表として、ショートショートの普及活動も行っています。

最後に、理想の実現へ向けたエールを

ながさき県内就職支援サイト Nナビ

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